飯長コラム:君津の朝めし、おいしさの秘密

今シーズンより、現場のようすだけでなくコラム的なものも発信していこうかなと考えていまして、その第一弾になります。
「おいしさの秘密」といきなり大上段からのコラム。やさしい目でお読みいただけたらと。


外で食べるご飯はおいしい!と感じます。
それでいくと君津の朝めしは屋外でご飯を食べるので、たぶん家で食べるご飯よりおいしいのかなと思います。

君津の朝めしは、羽釜で炊いた炊きたてのご飯を、たまごかけご飯にして食べる(生が苦手な人は目玉焼きにしています)のですが、たまごかけごはんは、家でも手軽に食べることができます。
だいたいこんな感じでしょうか。

1 温かいご飯を茶碗に盛る
2 別の器にたまごを割る
3 醤油をお好みの量かけ、かき混ぜる
4 3をご飯にかけて食べる


ご飯に直接たまごを割り入れるなど、常備食のたまごをいつでも好きなスタイルで食べる気取らない食事なんだろうなと思います。
家で食べるたまごかけご飯は、たしかにおいしい。シンプルながらも奥深い国民食と言えるかもしれませんね。

まずはおいしさの秘密に深く関係するそれぞれの食材について少し深く触れていきます。
食べ物のことなので個々の好みもあるという前提で読んでみてください。


ご飯


ご飯はみんな大好き。おいしいですよね。
このご飯には、うま味成分が含まれています。100gあたりでいうと

・グルタミン酸 約10〜30 mg
・アスパラギン酸 約5〜15 mg
・イノシン酸 約1〜5 mg
・コハク酸 約0.5〜2 mg


と、数種のうまみ成分が含まれています。
うま味といっても分かりづらいかもしれませんね。うま味を食味表現として例えるならこうなります。

・グルタミン酸:まろやかでコクのあるうま味(昆布だし、チーズ、味噌、トマト)
・アスパラギン酸:さっぱりして爽やかなうま味(アスパラガス、豆類、ホタテ)
・イノシン酸:力強くガツンとしたうま味(かつおだし、肉のジューシーさ)
・コハク酸:ほんのり甘みを感じる貝のうま味(ホタテ・アサリのだし、シーフードのコク)


また『ご飯』は温度や水分によりうま味の感じ方が違うと言われています。
炊きたてのご飯は、熱く水分が多いので、うま味成分が口の中で広がり、舌が刺激されやすくなります。
さらにいうと熱いご飯は、香り成分がたち、米独自の芳醇な香りが、うま味の印象を補強します。
熱々の炊きたてご飯好きの方は、このうま味と香りが口に合うのかもしれません。

一方で、冷めたご飯の方が好みという方もいると思います。
熱いご飯に比べ香り成分は減っていますが、魚や肉に多く含まれるうま味成分のイノシン酸は、ご飯が冷めてから増える傾向があるようで、冷ご飯好きの方は、イノシン酸のうま味を感じているのかもしれません。


昆布


君津の朝めしの場合、炊きあがりのご飯の芯を残さないために、30分浸水するのですが、その際に、乾燥しただし昆布を数切れ入れ浸水しています。
この昆布のうま味を100gあたりでいうと

・グルタミン酸 約2,000〜3,000 mg
・アスパラギン酸 約100〜300 mg
・イノシン酸 ほぼゼロ
・コハク酸 約200〜500 mg


桁違いにうま味成分が含まれています。

ご飯を炊く際にも昆布はそのまま入れっぱなし、うま味成分がたっぷり浸み込んだご飯を食べることになります。
炊きあがり時には昆布にも火が通っているので、こちらもおいしくいただけます。


たまご


実は君津市は他市に比べたまごの生産量や種類が多いまち。野菜直売所などにはたまごがずらっと並んでいます。
君津の朝めしでは、しっかりとした大きさの赤玉(赤茶の殻:ボリスブラウン種)、幸せの青いたまごといわれている青玉(薄い青の殻:アロウカナ種)をよく使っています。
たまごにもうま味成分が含まれています。100gあたりでいうと

・グルタミン酸 約80〜130 mg
・アスパラギン酸 約50〜100 mg
・イノシン酸 約3〜10 mg
・コハク酸 約1〜3 mg(卵白に多く含まれる)


動物性食品に多い、うまみ成分が多く含まれています。

君津朝めしでは生でも焼いても食べられるのですが、加熱によるうま味成分が変わります。100gあたりでいうと

・グルタミン酸 約80〜130 mg 変化なし
・アスパラギン酸 約30〜70 mg 減少する
・イノシン酸 約5〜15 mg 増加する
・コハク酸 約1〜3 mg 変化なし



・グルタミン酸は熱に強く、焼いてもゆでてもほぼ変化しません
・さっぱりとしたうま味のアスパラギン酸は熱で減少
・イノシン酸は増加(肉や魚と同じく焼くことでうま味が増す)
・コハク酸はほぼ変化なし

生で食べるたまごかけご飯と目玉焼きでは、感じるうま味の質が異なります。
ちなみに君津の朝めしはたまごが2個付くので、今度ご参加いただくときには、生で食べて、焼いて食べての両方のおいしさを楽しんでみてください。



しょうゆ


このしょうゆがおいしさの決めてになるんだろうと、昨年春の開始前に醤油を買い込みいろいろ試してみました。
それほど悩まず決まりました。結論。だししょうゆ最高!

一般的なしょうゆのうま味成分は、100gあたりでいうと

・グルタミン酸 約1000~1700mg
・アスパラギン酸 約300~500mg

一般的なだししょうゆのうま味成分を100gあたりでいうと
・グルタミン酸 約1500~2000 mg
・イノシン酸 約50~200 mg
・コハク酸 約10~50 mg


数値で見ると微妙なのですが、うま味が全然違っていました。
ちなみに炊きたてのご飯にだししょうゆをかけただけでも結構いけます。

と、ここまでそれぞれの食材のうま味についてお話ししましたが、ここからが君津の朝めしのおいしさの秘密になります。

理論上、グルタミン酸とイノシン酸を組み合わせると、単体で感じる旨味の1倍に対し、7~8倍ものうま味強度が得られると言われています。つまり、『昆布を入れ炊いたご飯』+『だし入りしょうゆ』+『生たまご』の組み合わせは、 グルタミン酸とイノシン酸の相乗効果により、非常に豊かで深い旨味が感じられるということになります。

『昆布を入れ炊いたご飯』+『だし入りしょうゆ』+『生たまご』
・(グルタミン酸5,160mg+イノシン酸215mg)✕8倍=43,000mg相当

単純に数値化できませんが、うま味の数値を足し、うま味強度をかけると口の中は、うま味の大洪水となるわけです。

ちなみに家で食べるたまごかけご飯『普通に炊いたご飯』+『しょうゆ』+『生たまご』は、 それぞれの旨味成分は存在しますが、相乗効果が働かないため、全体としてはかなり控えめな旨味となります。

合算すると
・グルタミン酸1,860mg+イノシン酸15mg=1,875mg

これらは単純な数値の組み立て、理論上の数値なのですが、 個別のうま味成分の合計よりも遥かに強い うま味を感じる組み合わせで、ご参加いただいた皆さんはたまごかけご飯を食べられています。
「これはおいしい!」という声をたくさん耳にしますが、おいしい秘密はこれだったんです。
さらに、君津朝めしは『外で食べるご飯はおいしい』という数値に出ない相乗効果も働くので、きっともっとおいしく感じられると思います。

ぜひ、君津の朝めしにお越しください!

2025.03.06